- 未来へ・・・・・・
-
- 発売元: 角川春樹事務所
- 価格: ¥ 1,944
- 発売日: 2014/11/13
- 売上ランキング: 158435
いつの間にか出ていて、文庫版が発売の報を聞いてこの作品が出版されたことを知る始末。新井素子アンテナがうまく働かなかったようだ。反省。ということで、『イン・ザ・ヘブン』という長編も出ていたこともスルーしていたようなので、こちらに関してはいずれ。
『未来へ……』は、読者を引き込む力はすごいあると思う。読んでいて次に何が起こるか解らない、次を知りたい、と読み手を翻弄する力。
でもなー、ふたりの主人公、母と娘なのですが、このうち娘の一人称語りの部分がちょいと辛い。文末が「なんですー。ふにー。ぐっすん。」だったりするのです。癖の強さも新井素子節ではあるけれど、ちょっと厳しいかな。でも。
先述した通り、本編は、読ませる作品でした。だから多少違和感を文体に感じつつも、許せてしまう。私は。
SFらしいとはいえないものの、一種のタイムパラドックスものになっていて、ひょっとしたら夢オチなのかもしれぬと思わせながらも、最後がふわっと着地した感じに好感をもちました。
ゴリゴリのハードなSFを期待していると肩透かしをくらうかもしれませんが、佳作です。よかったです。