読書・観劇記録、音楽メモを中心とした備忘録ブログです。
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ケミカルなんだけどナチュラル。一度聴いたら病み付きになる名盤です。
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イノセント─沈む少年─ / 図子慧
イノセント―沈む少年
イノセント―沈む少年
  • 発売元: 角川書店
  • 発売日: 1997/10
  • 売上ランキング: 1241845
18年前に出版された作品とは思えぬほど、コンピュータや通信に関する描写に違和感が少ない。それが読みながら思った第一印象。
帯文に「AC(アダルトチルドレン)時代のラヴ・サスペンス」と書いてありますが、その表現はいかがなものかと思います。面白いし、最後まで惹きつけられる感じは最高なんですが。耽美的な感覚といったほうが当てはまるのではないかと。
性描写も結構ありますが、過度にエロティックではなく、あくまで乾いた描写で表現されていて、読みやすい。
物語も全体的にラフで軽い読み心地。とはいえ、世間の陰の部分も描かれているのです。裏も表もあるのが世の中。

世間知らずの天才・新免と、彼を親友という枠を超えてしまうくらい甘やかす犬飼、犬飼に振り回されながらも離れられずにいる那多。
別れて数年経った犬飼からアルバイトを頼まれた那多は、人工知能に言葉の定義や質問への返答などを行う。その人工知能にかつて自殺した教え子の“ショウゴ”と名づけた那多。
新免は勤める研究所の親会社の関係破綻によって、これまで行ってきた研究の道が絶たれてしまうかもしれない状況に陥る。
犬飼は那多と暮らしはじめるが、暗躍のために家には帰ってきたりこなかったりの生活が続く。犬飼もまた新免と同じ研究所で勤めている。

三人三様のエンディングが待っているのですが、そこはかとない退廃感はさすがの図子ワールド。最後にいくつかの真実がつまびらかにされて、幕切れとなります。でも真実ってなんだろうね、それが意味を成す場合も成さない場合もある。良い悪いとは違う層に存在する。
本書のサブタイトル「沈む少年」は、ショウゴのことで間違いないんだけれども、新免もまた「沈む少年」だったのか、と。切ない。「少年」なのだね・・・。
軽く読み飛ばすこともできるし、じっくり舐めるように読むこともできる、素敵な一冊でした。
| coutaca | 書籍(図子慧) | comments(0) | trackbacks(0) |