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松本隆/風街図鑑~風編~ (JUGEMレビュー »)
オムニバス, 原田真二, 薬師丸ひろ子, 松田聖子, 近藤真彦, 太田裕美 1曲ごとに寄せられた本人コメントが面白い。思い入れの濃淡に思わずほくそえんでしまう。 RECOMMEND
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2006.09.30 Saturday 04:41
南の島のティオ / 池澤夏樹
さわやかな風の匂い。通り過ぎていく人々や動物や魚たちの記憶。神々は言葉なく秩序を語り、すべてをのみこんでいく──。 教科書に掲載されていた「星が透けて見える大きな身体」でこの本の存在を知ったのでした。 改めて読み直してみると、児童書に分類されているだけあって、文章はとても平易なのにどこか力強い。必要最小限の言葉で描かれているにもかかわらず、たとえば岬の先で海に飛び込みながらじゃれあう子供たちのいきいきした姿は目に浮かぶような印象を残す。 魔法のような花火で絵を描いて遠い目をしたリランとともに消えてしまった謎の男、神々の怒りを買って墜落死した男、強い意志によって生まれた島へ戻るエミリオ、天の者に呼ばれたアコちゃんを取り戻したティオたち。 なんか読んでいてこの南の島に息づく力に引き寄せられるような気分になりました。 「帰りたくなかった二人」は、自分の日常をすべて捨ててしまいかけるほど島に心を奪われてしまいます。 私事ながらこの夏にはじめて行った沖縄の離島に、それほど強烈ではないものの、そのような引力を感じました。便利で娯楽も選び放題の東京以外での生活は考えたこともなかったのですが、島の懐の深さのなかで日々を過ごしたら、こういう自然と共存するのもいいなァ、なんて思ってしまいました。大袈裟に言えば価値観が揺らいじゃったような経験を経て、ティオたちの島の魅力がかつて読んだときよりもぐっと迫ってきたのでした。年はとるもんです。 ま、このお話の二人ほど魅了されたわけではないので、再訪は簡単にできる・・・と思いたいのですけど、自分の繋縛されっぷりを適切に自覚できてないだけなのかもしれないですね。 2006.09.24 Sunday 03:28
窯変 源氏物語 2 ─若紫・末摘花・紅葉賀 / 橋本治
日本文学の古典に疎い者でも知っているような有名な話のオンパレードだった前半戦も「紅葉賀」で一段落。面差しにあどけなさが残る光源氏も、次巻からは二十代。 十代最後の光の君は、夕顔を亡くして色好みに拍車がかかる姿もどこか憂いを帯びながら、生硬な残酷さ、情け深さやおかしみも垣間見えて素晴らしかったです。 2006.09.16 Saturday 00:01
ファントム / 宝塚歌劇花組
日本では劇団四季による「オペラ座の怪人」として有名な海外ミュージカルの宝塚版。
四季版はイギリスの、宝塚版はアメリカのスタッフが製作したものの輸入だそうです。海外版は勿論、四季版も、映画版も観たことがないので、比較対象のないまっさらな眼でみることができました。 よく考えれば宝塚で海外ミュージカルをみるのは初めて。演出も音楽も何から何までスケールが大きくて、笑わせて泣かせて、メリハリの利いた物語もなかなか高水準で、さすがでした。 まァ「暁のローマ」のあとなので、余計そう感じてしまうのだとは思います。 とはいえ、一点だけどうしても気になったところがありまして。そのせいでなんか全部台無しだと思ってしまったところが。 2006.09.15 Friday 20:07
窯変 源氏物語 1 ─桐壺・帚木・空蝉・夕顔 / 橋本治
日本語の綾なす深みに誘われて、いつしかその世界に籠絡されてしまった。 とにかく美しく奥行きのある文章が描き出すのは平安貴族の生活ではあるが、その内面に秘された狂気にも近い人間の感情のドラマに打ちのめされてしまう。これまで小説家としての橋本治についてはほとんど触れぬままやってきたのだけれど、やっぱり評論・ノンフィクションの類でも際立った異才ぶりは、もともとの専門分野においても如何なく発揮されています。「桃尻語」の枕草子やノンフィクションでみせるくだけた解りやすい言葉とは別のベクトルではあるものの、やはり同じ知性によって産みだされたものだけあり、怜悧さに貫徹されている部分は共通しているのです。 本書は紫式部の書いたという王朝の物語『源氏物語』に想を得て、新たに書き上げた、原作に極力忠実であろうとする一つの創作(フィクション)、一つの個人的な解釈である。と巻末にあるように、『源氏物語』の現代語訳ではなく、橋本治が著した『窯変源氏物語』でしかない。橋本治が再構築した「源氏」。光源氏の一人称が紡ぐのは色事を通して見えてくるこの世の理、その平安の代と現代に通底する部分こそが著者の手によるこの作品の意義なのかと思います。 とはいえ、原典は学校の教科書で触れた程度、他の作家による作品も目を通したことがないので、比較することが出来ないのは歯がゆかったりします。あ、江川達也のコミック版は1巻だけ読んだことがあるのですが、エロ要素をクロースアップしすぎて続きを読む気が失せてしまった記憶しかありませんし。 この作品が発表された当時、「国文学における最新学説を平気で飛び越えている」と学者に言わしめるほどのものなのだそうですが、個人的には全くそういった部分は解りません。確かに研究者の目から読んでみるのも面白いかもしれませんが、私はこの物語についてはただの古典に疎い素人としてついうっかり読み始めることができて幸せでした。 全14巻という長丁場、果たして読み切れるのかという疑念は捨て去れないのですが、この言葉の美しさに翻弄されるがままにしていればあっという間なんじゃないかと思いつつ。 |
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