2023.11.15 Wednesday
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松本隆/風街図鑑~風編~ (JUGEMレビュー »)
オムニバス, 原田真二, 薬師丸ひろ子, 松田聖子, 近藤真彦, 太田裕美 1曲ごとに寄せられた本人コメントが面白い。思い入れの濃淡に思わずほくそえんでしまう。 RECOMMEND
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2006.05.27 Saturday 02:21
Lif-e-Motions / TRF
急に思い立って、TRFのライブチケットを確保してしまいました。だって、イベントならこれから先、エイベックスの功労者としていくらでも出るだろうけど、ワンマンはもう、これが最後でもおかしくないような気がするので。シングルとアルバムの売り上げも芳しくないし。 ということで、ニューアルバムを聴きました。 んー。先行シングル「Where to begin」がそこそこの出来栄えだっただけに、アルバム全体を覆うくすんだ感じが非常に切なかったです。ラストチューンを除いて、一応は全部がアップテンポではありながら、勢いの衰えは隠せてない、というか、かえって薄っぺらさを強調してしまう有様。 小室哲哉が再び手がけたところでどうなるものでもないけれども、かといって、作家陣がシングル曲の原一博以外はほぼ新人で埋められているのも力抜きすぎじゃないか、と。まあ、新人でも曲がよけりゃいいんだが、そういうわけでもなく。 はっきりいって、エイベックスの新人さんの新しい音源です、といわれても納得してしまうほどにTRFらしさはなし。ま、TRFらしさって何よと言われればそれまでですがね。仮にもデビューから干支が一回まわるくらいのグループが出す作品じゃないよな、と。フレッシュさで押し出すのは無理なんだから、ブラック路線とか、シングルでいうなら「happening here」的な黒っぽい(?)方向とか、歩むべき道はいろいろある中、これですか・・・。 トリビュート盤なんかに金をかけてドーピング的手法で売り上げを伸ばそうとするよりも、もうちょっとなんとかならなかったものか。 個人的には、七尾旅人や古明地洋哉など、メジャーでありながらメジャー感の薄い人たちと組んできた安原兵衛氏が「ENGAGED '06」のアレンジをしていることに驚きました。ガンダム曲でデビューした娘の曲といい、最近陽のあたる方へと進みつつあるようで。 「ENGAGED」という旧曲を焼きなおすこと自体にも前向きな意味は全く感じられないのだけれど、イントロのリズムカウントと鍵盤が醸しだす雰囲気は紛れもなく安原氏のサウンドで、思わずにんまり。 それはともかく、フェンス・オブ・ディフェンスの山田わたる氏とDJ KOOのユニット「WILL」がこのアルバムに「Signal Theta」(インスト)を提供していますが、アルバムも出しちゃうそうです。渋い二人ですね。どういうつながりってコムロ式な関係なんだろうけど、ふたりが共に活動するに至った経緯が想像できない・・・。 2006.05.26 Friday 22:11
ダブ(エ)ストン街道 / 浅暮三文
舞台は、ダブエストンだのダブストンだのダベットンだの、と呼称の定まらない場所。そこへ迷い込んでしまった夢遊病の恋人タニアを連れ帰るため、健二もまたその不思議な場所へとたどり着いた。奇妙な秩序によって制されたその地で、果たしてタニアを見つけ出すことはできるのか? 郵便配達夫アップルとともに、ダブ(エ)ストンの奇妙な住人たちと出会いながら、ひたすら前へと進んでいく・・・。 という、ファンタジー小説。メフィスト賞受賞作です。 独自の文化が形成されていて、それが面白いのです。 郵便物の配達料は現物を一緒にポストに入れる。それだけでなく、お金というものがなく、すべてが物々交換。とか。他にも読んでいて楽しくなるような規範がいろいろ出てきます。 そして、この話の特徴的なのが、主人公ケンこと健二とアップルの旅路とともに挿入されるのが、幽霊船の幽霊兄弟、足だけのガリバーと下半身のないダスティー・ミラーの航海の様子と、王国プーナンの裸の王様と執事ピエールたちの御幸の様子が同時進行していくところです。この三つが非常に接近しながらも、出会わなかったりする。最終的にどうなるのか・・・と楽しみつつ読み進めました。 それにしても、これをファンタジーといってしまっていいのか? と思ったりします。ジャンル分けなんて関係ないのかもしれませんけど。 そして、興を削ぐネタバレ込みの文章は、以下に隠しておきます。 2006.05.22 Monday 00:07
なみだ研究所へようこそ!─ サイコセラピスト探偵 波田煌子 / 鯨統一郎
「サイコセラピスト探偵」というからある程度身構えていたところもあったのですが、拍子抜けするほどやさしいお話。心理学や精神分析についての記述もなくはないものの、そこを理解できなくても差し障りはそれほどありません。 そこそこ優秀とみてとれる臨床心理士の松本清が働くことになったのは、波田煌子が所長を務めるメンタルクリニック「なみだ研究所」。煌子の無知・行き当たりばったりの言動・その他諸々に翻弄されるのだが、煌子は患者をズバズバ治していってしまう。 基本的に言葉あそびとダジャレをベースにしたライトミステリとして、大変面白く読みました。「置換してください」→「痴漢してください」というようなネタからは『六枚のとんかつ』を連想・・・読者を脱力させてしまう力は同一線上にあるように思います。 つい思い出してしまった奥田英朗の『イン・ザ・プール』などの探偵役(っていう言葉も不適切な気がするけれど)の神経科医・伊良部と比べると、やはりちょっとスケールがちんまりしている感が否めないし、患者の症状も解決法もちゃちいのだけれど、この軽さ、くだらなさはそれなりに堂に入っている(ような気がする)。それを裏付けてくれるのが、ラストの展開。若干せつなくて。 2006.05.21 Sunday 18:25
クラリモンド
於:池袋サンシャイン劇場 出演:安寿ミラ 貴水博之 舘形比呂一 森山開次 熊谷和徳 ほか 宝塚のOGもアクセスの人も出てますが、そこを観たかったのではなく、あくまでもダンサーの方々を目当てでいってきました。ダンス方面には詳しくないのですが、その筋では勿論、テレビや映画など多方面にわたって活躍されているお三方をいっぺんに観られるというので。 実際、観てみてすごくよかったです。そういえば、宝塚以外はストレートプレイしかみたことがなかったので、少数精鋭が歌って踊って、という舞台ははじめてで、それも新鮮で面白かった。 基本的にストーリー展開で楽しませる類ではなく、ダンサーの魅力を前面に押し出すための筋書きなので、頭を働かせることはほとんどなく、舞台上で繰り広げられるパフォーマンスを純粋に楽しめました。 この世のものとは思えぬ身体の造作と動作は、妖しく、なまめかしく、退廃的なエロスとタナトスを濃密に溢れさせていて、まさに「悪魔」 。圧倒的でした。熊谷さんのタップダンスも表現力が豊かで、思わず惹き込まれてしまいました。 安寿さんも振付家などをされていて踊りの人だと思うのですが、そういう面での見せ場はお三方に譲ったようでした(とはいえ、貴水さんとのデュエットダンスでは、お御脚を軽々と頭より高いくらいにあげていらして、さすがでしたが)。その美貌とスタイルのよさと存在感が、生と死を往来するクラリモンドという魔性の女に奥行きを与えて素晴らしかったです。 そして・・・この舞台を見たすべての人がそう感じたわけではないと思うのですが、少なくとも私にとって、致命的なマイナスポイントがありました。 それは、貴水さん。基本的に彼の普段の声域より低いところがほとんどなのだけれど、ときおり張った高音がなんというかもう、HIRO☆TAKAMIというか、アクセス全開というか、舞台上にあらわれた世界を突き崩すに充分で。低音域でも巧く歌いこなしているのだけど、ふとした節回しに、僧侶という役柄ではなく、ポップスターというか、シンガーとしての貴水さんが想いっきり顔を出してしまうのです。持ち味、魅力というものが逆にこの作品と合わなかったように思います。 貴水さんの歌手としての活動を知らない人には、それほど問題はないのかもしれません。でも、あの役が貴水さんじゃなかったら! と観劇後、しみじみと思ったのは事実。 劇伴が宮川彬良のピアノ生演奏というのも、公演が始まってから知りました。音楽的素養はまるでないのですが、端正な演奏という印象を受けました。さすがサラブレッド。この芝居の妖しさにはちょっと堅苦しかったような気もしましたけれど。 ここ最近、舞台は宝塚だけだったので、チラシをたくさんもらったりして目を通すのも楽しかったです。テレビでは見かけなくなった人々を発見する醍醐味がありますし、やっぱりいろんな舞台を見たくなってきてしまいます。この「クラリモンド」も客席後方は空席でしたが、チケット即日完売の公演なんていう一握りなんでしょうし。とりあえず、ダンサーのお三方の今後の舞台情報をチェックしていきたい所存です。 2006.05.20 Saturday 08:47
あした / 新井素子
日本SF作家クラブ編『2001』所収。『チグリスとユーフラテス』の外伝。とはいえ、舞台は惑星ナインではなく、地球。レイディ・アカリ(灯)の実妹、藤波標(しるべ)が主人公。 最愛の姉は、すべてを捨てて夫とともに惑星開拓船に乗り、不帰の旅へ出た。その影響を受け、恋愛感情を適切に育むことができなくなった標が、実用段階に至る直前のコールドスリープの人体実験に参加し、10年の眠りに就く、その前夜の問わず語り。 ほんとにごく短いはなしです。そして『チグリスとユーフラテス』を未読の人には推奨できない作品。しかし、それなりの味わいがあり、本編の奥行きを増してくれる。 描かれてはいないが、標のコールドスリープは成功するのだ。そして惑星ナインへとその技術が伝達され、アカリは90の齢で眠りに就き、「最後の子供」ルナのもとで目覚める。 アカリは四百余年のときを、標は十年を、コールドスリープによって飛び越える。 おそらくは、アカリが眠っている間に標はこの世を去っているであろう。そのことを標は知る由もない(ひょっとしたらコールドスリープを再度使用しているかもしれないけれど)。 標が逃避した当の恋愛は、時間をスキップしてさえも、追いかけてきたのだろうか? 2006.05.16 Tuesday 23:00
六枚のとんかつ / 蘇部健一
下品。ゴミ。バカ。誰にでも書ける。商品としてのレベルに達していない。クズ。読む価値なし。 とりあえず、ミステリの感想として言い得るマイナス査定の言い回しはあらかた言い尽くされちゃったくらい、ひどい評判だったのがこの作品。 初期メフィスト賞の徒花的な存在として、清涼院流水と並び称されるだけのことはありました。でも、着実に作品を発表し続けているし、今回手にした文庫版『六枚のとんかつ』も、発売から2年で第9刷と、重版もされていたりして、総スカンをくらっているわけでもないみたい。 賛否両論を呼んで話題をさらったという意味では、メフィスト賞に推した編集者の狙い通りなのでしょう。 まず、短くて手軽に読みきれるものばかりを集めているので、その内容がどれだけ下品だったり、トリックが粗末でも、テンポよく読み飛ばせるのがいい。 そして、キャラクタが過度にバカなので脱力しながら読める。緊張感一切ナシでゆるく始まり、ゆるく終わる。締めるところがとりたててなく、終始、毛穴ひらきっぱなし。それはそれで狙い通りの一品として愛でられました。 シモネタを許容できないかたや、ミステリとしての質を重視するかた以外なら結構いける作品だと思いました。『六とん2』は・・・ほとぼりがさめたころに手にとって見ようかな。 2006.05.14 Sunday 20:56
幸福な食卓 / 瀬尾まいこ
「父さんは今日で父さんを辞めようと思う」その宣言とともに仕事もやめた父、別居中の母、飄々とした兄の直、そして佐和子・・・ある家族の4年間の出来事を綴った四つの物語。 外側からは平穏そのものにしか見えない家族の内にある歪みを淡々と描いています。 ひとつひとつのエピソードに登場人物たちの息遣いを感じて、とてもいい作品だったのですが、なぜかすんなりと心に響かなかったのでした。うまく言語化できないのですが、これまでに読んだ瀬尾作品より浸透力が弱い、というか。 2006.05.10 Wednesday 21:47
D-ブリッジ・テープ / 沙藤一樹
なんとなく再読。はじめて読んだときは、かなり衝撃をうけたのだけれど・・・うーぬ・・・ぼくの身体が昔より大人になったからなのか? それとも、あのとき、どんな本なのか前評判も何も知らずに読みすすめていくうちに迫ってきたのは、単なるファーストインパクトに過ぎなかったのか? 露悪趣味、といってしまえばそれまで、なのかもしれない。確かに、読んだ者を刺激する表現にあふれているのだが、繰り返し読むことに堪えられる文章ではない。短く区切られ、ごく平易な台詞によって進行していく物語の奥に、もっと読み手の想像力をかきたてるような深みを、どうしても求めてしまう。 2006.05.05 Friday 21:23
チグリスとユーフラテス / 新井素子
「滅び」、あるいは「終わり」についての物語。 惑星ナインにおける最後の子供・ルナと、コールドスリープから目覚めてゆく女たちの物語。 地球からの移民によって開拓された惑星の盛衰が、極限において回想されていき──、そして、惑星の創始者・レイディ・アカリは、果たして何を告げ、何を為すのか。 ちょうど十年前に雑誌に掲載されたこの作品の第一章を読み、それからしばらく経って発売された単行本を購読して以来、久々の再読でした。 何らかの理由による人類滅亡を題材にした創作物は多いと思う。新井素子にも『ひとめあなたに』でそうした設定の作品を発表している。それもまたドラマティックな滅び、終わりの一形態ではある。 『チグリスとユーフラテス』のように、少しずつ、ゆるやかにヒトが終えていくというアイディアも、今の日本のご時世では目新しいものではない。しかし、その舞台が実在する固有の場所でも、地球上でもなく、他の惑星であるという虚構であることによって、逆に今、日本で認識される状況を想起せずにはいられない凄みを感じてしまう。 相変わらず、新井素子の独特の文章表現は、閉塞感のあるシビアな筋書きでも、軽いタッチで読ませてくれる。全体としてスケール感のある、壮大なテーマを扱っているにもかかわらず、決して荘厳な雰囲気を読み手に伝えない、というのは、やはりこの人ならではの技だ。 独特の選語センスによって、「奥津城」とか「鬼籍」とか、いくらナインという星が日本文化を基盤としているからといって、ちょっとSFにはそぐわないような単語が出てくるのは気になる。 総じて、新井素子の文体が嫌いな人は、それを堪えて読み通すには随分と長いお話なので、やっぱりお薦めできない作品であることは確か。 ともあれ、この作品が作者にとっての代表作のひとつであることは間違いないわけで。SF作家ゆえ、スケールの大きいもの(『・・・・・絶句』とか、『緑幻想』とか)は少なからず見受けられるけども、やはり、これを他の作品と一緒くたにしちゃまずいでしょ。 外伝として、「馬場さゆり」と「あした」という短編が、アンソロジーや雑誌に掲載されているようです。本作自体で満足できているので、無理に読む必要はないのかな、と思いつつも、やはり興味をそそります。 それよりも遅筆を公言してはばからないとはいえ、もう二、三年は小説の新作が出ていないので、そちらのほうを期待しているのですが。忘れた頃にやってくる天災みたいな作家になっちゃった感がさみしいです。 2006.05.03 Wednesday 15:52
凶笑面 蓮丈那智フィールドファイルI / 北森鴻
2時間ミステリドラマとして映像化もされたシリーズの第一作目。美貌の持ち主であり異端の民俗学者・蓮丈那智とその助手が日本各地にフィールドワークに赴くたびに遭遇する殺人事件を解決していく、というおはなし。 なんか京極夏彦の妖怪シリーズばりの薀蓄の洪水のような、敷居の高いイメージを勝手に抱いていたのですが、読み終えてみれば、ちょっと稀に見るほど読みやすい、とっつきやすい作品でした。 民俗学の学術的知見も咀嚼しやすくて、テンポよくあっという間に一編を読み切れて。 実際、民俗学を専攻している人からしてみると違うかもしれませんが、少なくとも私には、学術的な側面の描写はリアルで説得力のあるものに映りました。 現地調査に行く先々で殺人なんておこらねえよ! というつっこむ向きもあるかもしれませんが、それ以外の部分では不用意な嘘っぽさが排除されているので、そんなに気になりませんでした。 アンタッチャブルな領域と《狐》の存在など、いかにもありそうな感じだし、シリーズ次作以降の展開への引きの魅力は充分。短編だけでなく、こってりと細部まで描写された長編も読んでみたいものです。 |
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