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2015.07.07 Tuesday 22:12
からくりからくさ / 梨木香歩
多分、初めて読んだ梨木作品。十年以上経って何となく手に取りたくなって、一週間ほどかけて読み返してみました。 「ここにはないなにか」を探そうとしないで。ここが、あなたの場所。というのが帯文の惹句。 物語終盤、個人的に惹かれた台詞を引用します。 「ねえ、これからもきっと、こうやって、僕たちも、何度も何度も、国境線が変わるようなつらい思いをするよ。何かを探り当てるはめになって、墓を暴くような思いもする。向かっていくんだ、何かに。きっと。小さな分裂や統合を繰り返して大きな大きな、緩やかな統合のような流れに。草や、木や、虫や蝶のレベルから、人と人、国と国のレベルまで、それから意識の深いところも浅いところも。連続している、唐草のように。一枚の、織物のように。光の角度によって様々に変化する。風が吹いてはためく。でも、それはきっと一枚の織物なんだ」この言葉は、他の梨木作品にも通じる気脈のようなものを現しているように思えて仕方ないのです。余りに鋭い。 四人の若い女性たちの共同生活、自然の持つ力、それを手作業で作品にうつしていくこと。 魅力的な人物――ただ字義通りに美しかったりはつらつとしているだけというわけではなく――の一年を描いたこの物語は、人間の業の深さを丁寧に深く描いている。 機織、染色、庭の植物を食べる、など、自然の暴力的なまでの力とスケールの大きなうねりの中で、それでも日々を淡々と過ごしている様子は、不思議なまでに「正しい」と言い表したいものである。 終盤はドラマティックで、希望に満ちたものでありながら、どうしようもない苦みも含まれている。生きることのどうしようもなさに抗うこと、「変化する」ことに流されること、ともに同じことを別の表現で伝えようとしているのではないか。 彼女たちのその後を描いている『りかさん』所収の「ミケルの庭」も、りかさん本編も読み返したくなりました。 Comment
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