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松本隆/風街図鑑~風編~ (JUGEMレビュー »)
オムニバス, 原田真二, 薬師丸ひろ子, 松田聖子, 近藤真彦, 太田裕美 1曲ごとに寄せられた本人コメントが面白い。思い入れの濃淡に思わずほくそえんでしまう。 RECOMMEND
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2017.11.20 Monday 17:06
ふたりの距離の概算 / 米澤穂信
仮入部してきた新入生・大日向友子が、謎の言葉を残し、本入部はしないと言って去る。なぜ、大日向は本入部を断ったのか、千反田との会話にその原因があるとみた奉太郎は、本入部手続き期限の当日に開催されるマラソン大会中になさねばならぬ謎を解くため立ち上がった。 そのマラソン大会の開始から幕開けし、終わりまでにストーリーが紡がれていく。走りながら、歩きながら、足を止めて休みながら、過去に起きた出来事を振り返りながら、マラソン中の奉太郎は主要人物と話し、確認しながら推理をはたらかせる。
さくさくリズムよく読める日常の謎系青春学園ミステリです。出てくるキャラクタがことごとく、それぞれのやり方に律儀なのが現実的でないな、と思いつつ、それが米澤ワールドの青春の発露なのでしょう。 最終的には大日向は入部しないような気もするけど、おそらくこれからこのシリーズに顔を出すこともあるでしょう。 限られた高校生活を舞台に、充実した作品をこれからも待っています。『いまさら翼といわれても』も読まねば。 2008.03.27 Thursday 21:16
遠まわりする雛 / 米澤穂信
神山高校〈古典部〉1年生の4人の面々の周りで起こる出来事が一年を通して繰り広げられていく連作短編集。シリーズ4作目にして初の短編集。 軽いタッチで描かれながらも、「日常の謎」を解く醍醐味はたっぷりと盛り込まれている。登場人物の行動とその心理が青春小説としてもうまく描けていて、二度おいしい感じ。 里志と摩耶花の関係もこれまでの長編でそれとなく触れられてはいたものの、「手作りチョコレート事件」でふたりの関係の複雑さというか単純さというかを思い知らされて興味深さが倍増した。 それにしてもなんだけど、〈小市民〉シリーズの小鳩常悟朗と奉太郎は似過ぎてはいないだろうか。常悟朗はかつての自分の性質(探偵)を切り落として小市民として生きようとしているのと、奉太郎は省エネに徹したいと思いつつ探偵役を務めざるをえなくなるのと、もちろん二人の違いは解ってはいるんだけど、似ているように思える。 体温が低めというか、低めでありたいと思う志向というか。でも結局、「探偵」役を演じなければならなくなってしまうところとかも。 2006.10.08 Sunday 20:58
夏期限定トロピカルパフェ事件 / 米澤穂信
高校生の男女が繰り広げる非‐恋愛系青春ストーリー、プラス・ライトミステリ。読んでみてのこの作品──前作『春期限定いちごタルト事件』もひっくるめたこの〈小市民〉シリーズ全体について、改めてそんな言葉が思い浮かびました。 ミステリの部分は派手ではないけれどよく出来ていて、それが短編ごとの面白さだけでなく、全体を貫流するひとつの物語の魅力を引き出しているように感じます。 小佐内さんと小鳩くんの先行きも気になるし、健吾にもひと波乱ありそうな予感・・・。 次は「秋期限定モンブラン事件」とのことで、季節一周で完結だとすると、それが「転」にあたるのでしょうか。米澤氏のシリーズものの定番である「引き」のうまさは今回も健在! 終章での息詰まるような駆け引きは『愚者のエンドロール』を彷彿とさせます。若さの中に横たわる自意識と理性のせめぎ合いのなかで揺れるふたりのやりとりは、絶妙。恋愛要素が取り払われているからこそ、ふたりの怜悧さ、生真面目さがリアルに感じられるところもあるし。 解説でも書かれているように、米澤氏自身はビルドゥングス・ロマンを目指しているとのこと・・・それは〈古典部〉〈小市民〉の両シリーズともにいえるのだろうし、読み手の予想を超えたものを作品として提示してくれることを信じています。 2006.02.26 Sunday 21:50
犬はどこだ / 米澤穂信
紺屋S&R(サーチ・アンド・リサーチ)シリーズの1作目。思い描いた道を歩いてきた紺屋がつまづいて行き着いたのは、故郷で犬探し専門の探偵になること。しかし舞い込んできた依頼は、失踪した女性の行方探しと、古文書の調査。転がり込んできた学生時代の後輩ハンペーを心ならずも雇い、ふたりはそれぞれの調査を開始するのだが・・・。 軽すぎず、重すぎず。心情吐露がくどくなりすぎず、かといって淡々としすぎず。あくまでも軽妙な文体で、最後まで読みやすく、後半の展開はスリリング。興奮しました。 単品としてもかなりレベルの高い作品だと思いますが、シリーズものとしても、次作以降への伏線も随所に用意されていて、さすがは米澤さん! と嬉しくなっちゃいます。他の作品より若干登場人物の年齢が上だったり、ハードだったりする部分や、紺屋とハンペーなどなど、気になるキャラクタたちの行く末が気になります。 詳しくは以下に。ネタバレの上、かなり邪推してます。 2005.12.17 Saturday 20:09
クドリャフカの順番―「十文字」事件 / 米澤穂信
古典部シリーズ第3弾。これまでの2作はスニーカー文庫として出版され、今年の夏に通常の角川文庫から、装いを新たにして再版されたもの。この作品はソフトカバーの単行本として上梓されている。つまり、それだけ出版社サイドも、気合と期待をこめた一作なのでしょう。もちろん、それを裏切ることなく、文句なしに面白い一冊です。 これまでのシリーズで散々前振りされてきた、一大イベント「カンヤ祭」こと神高学園祭がおこなわれる3日間に巻き起こる事件を、古典部の四人がそれぞれの視点から語っていく。 これまで細かく描かれなかった里志や摩耶花、えるの心の声と個人としての高校生活が明らかになります。「女帝」入須先輩などこれまでの登場人物がそこかしこに顔を出してくれるし、キャラクターにより愛着がわいてきます。 特に摩耶花は、漫画研究会でのエピソードでかなりキャラクターが際立ってきたように思える。そつがなく立ち振る舞うことができない、どこか不器用なところがイイです。 そして、学園祭という学生にとってのスペシャルイベントの楽しさも味わえる。クイズ大会、料理大会、手品。それに、実際は描かれていないものの、しおりに書き出されたさまざまな参加団体。 冒頭で奉太郎が手に入れた使えない万年筆が、わらしべ長者的に、いろんなものと代わっていくのもなかなかいいです。 ミスで刷りすぎた文集「氷菓」を時間内にどこまで売り上げることができるか、というスリル。 メインである「十文字」事件がなくても趣向の凝らされた楽しい学園小説として成立しているんだけど、ミステリの要素でさらにボリューム感が出て、読んでて得をした気分。アガサ・クリスティを読んだことがあればさらに楽しめたみたいですね。どんなジャンルでも、古典といわれるものには手を出しておいたほうがいいんだよな、といつも思うんだけれども。 2005.12.14 Wednesday 20:51
愚者のエンドロール / 米澤穂信
おお! なんというか、すごく好みな感じでした。 でも世間的にはシリーズ前作の『氷菓』のほうが評判がいいみたいですね。前作の真相が個人的に腑に落ちなかっただけに、断然、こちらのほうが好きです。 文化祭に出展する予定の、撮影途中のミステリ自主映画のフィルムを観せられた古典部の面々。脚本家の急病により「誰が犯人か」「どういうトリックなのか」を解き明かすことを求められ、結末を追いかけることになってしまいます。 奉太郎が徐々に「省エネ」から抜け出していく様子は、青春モノとしてこのシリーズを楽しませてくれるのに充分な感じ。ミステリとしての部分は、映画の脚本とはいえ、殺人を扱っているため、いわゆる「日常の謎」だった前作と比べて、読み応えがありました。でも、やっぱりミステリの部分はインパクトが弱い気がする。自分自身、ミステリに詳しくもないし、こだわりもないからその部分をうまく言葉にできないんだけども、これまで読んだ米澤さんの作品って、ミステリ通に受けなさそうな感じがしてならない。あくまでもライトミステリ、という印象。未読の『犬はどこだ』『さよなら妖精』がどんな感じなのかは解らないのですが。 2005.12.09 Friday 20:43
氷菓 / 米澤穂信
神山高校に進学した折木奉太郎は、エネルギーを消費することを避けて生活してきた。しかし、先輩でもある姉の言葉によって「古典部」に入ることになり、そこでの千反田えるとの出会いが、奉太郎にさまざまな謎を解かせていく。 鍵がかかる教室、毎週金曜日に貸し出されその日のうちに返却される図書室の本、文集のゆくえ、千反田の伯父の謎・・・。 それぞれの謎は、とても身近だったり、些細だったり、真相をあきらかにせずとも問題のないようなことばかり。まさに「日常の謎」系のミステリの王道をいっている。この作品は角川学園小説大賞ヤングミステリー&ホラー部門奨励賞をうけただけあって、まさに高校を舞台にした青春小説としても、楽しめた。 「古典部」の4人のキャラクターはよく描けているものの、まだ充分な味わいをみせるには至っていない。ような気がする。いや、充分に4人のやりとりは面白いんだけど、もっと大きく化けるだけのポテンシャルを秘めてると思うんです。 里志なんてかなり個性的なので、彼の素顔が垣間見えるようなエピソードも、今後のシリーズに期待しています。 奉太郎は『春期限定いちごタルト事件』の小鳩くんと同じく平穏であることを望んでいる。小鳩くんは昔のでしゃばりな自分を小市民という器に押し隠そうとして、奉太郎はもともとの省エネ気質が古典部に入ることで変わってくる自分に気づく、と事情は勿論別々だけど、ありがちな男子高校生のイメージとは一線を画していることは同じ。この辺がやっぱりありえなさそうなんだけど、だからこそ普通の青春小説には感情移入できなくなる年齢でも楽しめるのかも。 次の『愚者のエンドロール』と『クドリャフカの順番―「十文字」事件』も続けて読むので、そちらも楽しみ。 ひとつだけこの本の中枢が理解できなかったんですが・・・ネタばれを含むので隠しておきます。 2005.11.19 Saturday 18:10
春期限定いちごタルト事件 / 米澤穂信
小鳩くんと小佐内さんは、恋愛関係にも依存関係にもないが互恵関係にある高校一年生。きょうも二人は手に手を取って清く慎ましい小市民を目指す。それなのに二人の前には頻繁に奇妙な謎が現れる。消えたポシェット、意図不明の二枚の絵、おいしいココアの謎、テスト中に割れたガラス瓶。名探偵面をして目立ちたくないというのに、気がつけば謎を解く必要に迫られてしまう小鳩くんは果たして小市民の星を摑み取ることができるのか? 『さよなら妖精』の著者が放つ、コメディ・タッチのライトなミステリ。 これはミステリというよりは、青春モノといったほうがしっくりくるような気がする。本性を隠し、それを矯正しようとする少年少女をめぐる学園ストーリー。 小鳩くんと小佐内さんが恋愛感情を持つことなく、これからもきっとそういう関係になることもなさそうだが、互いに小市民たろうと約束している、という設定自体が非現実的なファンタジーなので、ミステリ的な部分の地味さをうまくカバーしているように思います。 とにかく、文体も読みやすく、連作短編なので集中して一気に読みこむ必要もないので(一冊通してもそんなに分量がないので、一気に読めちゃいますが)、軽い気分で読めて、楽しかったです。 で、この作品はシリーズの第一作目だそうです。すでに雑誌で新作が発表されています。 小鳩くんの小賢しい名探偵ぶり、凶暴な復讐マシーン小佐内さんが自制しつつも活躍する姿や、過去の出来事など、いろいろと期待してしまいます。 |
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