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松本隆/風街図鑑~風編~ (JUGEMレビュー »)
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2019.06.24 Monday 20:50
中野のお父さん / 北村薫
主人公のお父さんが探偵役となって、日常の謎を解いていく小粋なミステリ。 出版社に勤め文芸誌の編集をしている体育会系女子のヒロインが語り手。 出版業界ならではの文芸ネタもあつつ、会社で起きたちょっとした事件もありつつ、短編が八つ、読み切りで非常に読み易い。 ヘヴィーだったり緻密なミステリなどをご所望のかたにはお薦めできないけれど、こういう作品も適切です。 シリーズ新作も出てるみたいです。『中野のお父さんは謎を解くか』というタイトル。アンドロイドは・・・みたいなののオマージュですかね。
この本を読んで、北村薫作品の極北と伝え聞いている『盤上の敵』を読んでみたいなァという気持ちにかられました。 後味が苦い、人の悪意について考えさせられる、などと言われているので、手に入れたものの実際に読むには至らずに今に至るのです。だって文庫本のまえがきで作者本人が後味悪いです、読む人はご注意を、なんて言われてしまうとちょっと手を出しかねてしまいまして。 北村さんもちょっと油断していたらたくさんの著作を上梓されていて、どれから読むか迷っていたけど、盤上の敵を攻略したいと思います。『D-ブリッジ・テープ』よりは読み心地いいといいな。比べるものじゃないけどさ。 2012.01.30 Monday 20:18
鷺と雪 / 北村薫
昭和初期の穏やかな時間の流れが、戦争がはじまろうとするうねりへと飲み込まれていく様がリアルに感じられました。 シリーズ三部作の最後のこの一冊でも、穏やかかつ端正な筆致でヒロイン英子の成長が描かれています。 いわゆる「日常の謎」のミステリ要素も、時代ならではの空気を湛えたもので、過去2作の伏線もゆるやかで心地よいです。 作品も時系列に沿っていて、収められた3作品のトリを飾る表題作の幕切れも、またゆっくりと胸に迫ってくるものがあります。 これから動乱の時代を進んでいくことになろう英子とベッキーさんの行く末が気にかかるけれど、きっと、復興した東京で健やかに生きていてくれると信じたくなる良い作品でした。 2010.10.26 Tuesday 22:31
玻璃の天 / 北村薫
昭和初期の、戦争直前の緊迫度を増していく中での、お嬢様である「わたし」と運転手ベッキーさんの出会った「日常の謎」系連作短編集。表題作含む三作を収録。 前作を読んだのが五年も前なので、細々したとした前作とからんだエピソードが解らなかったりしたのです。が、それを差し引いてもやはり北村さんの腕。 少しずつ明かされていくベッキーさん、成長していく「わたし」。 激動の昭和期の嵐の前の静けさが、直木賞受賞作でもある次作ではどのようにヒロインたちをのみこんでいくのか・・・、それがとても楽しみなようであり、見たくないという気持ちでもあり。 近いうちに『鷺と雪』も読んでみたいと思います。 2007.08.04 Saturday 23:25
秋の花 / 北村薫
落語家・円紫さんと《私》シリーズの3作目にして初の長編。そしてシリーズで初めて人の死が扱われている。 とはいえ、猟奇的殺人だったり泥沼の愛憎劇とかいうわけではなくて、誰しもが暮らす日常のなかから排除することの出来ない重い問題としての一人の少女の死の謎が解かれていく。 ミステリの謎解き部分も納得できる出来栄えで、読んでいて、実際にありそうな出来事のように思えて、背筋が寒くなる思いもしました。 円紫さんの登場する部分は比較的少なめですが、探偵役としてはもうしぶんなしの大活躍。 終盤、ある意味残酷な形で、あるいは希望の光が洩れるかのようなエンディングが、あっけないようでとても素敵でした。 「赦す」ということの持つ意味、「償う」ということの重み。 読み終えたあと、何気なく当たり前のように生きている私たちの命が尊いということを改めて認識させていただきました。 2006.03.09 Thursday 21:13
冬のオペラ / 北村薫
読み心地がよく、軽いタッチ。美しい情景描写は相変わらず。事件の真相からみえてくるほろ苦さもほどよく、北村さんの作品は、やはりいいです。 この作品は再読のはずですが、完全に内容を忘却していたので、まるで初読のように楽しめました。 以前読んだ際の感想として、唯一おぼえていたのは「これシリーズになるのだろうか」というもの。主人公のあゆみの父の死については軽く触れられているものの、それほど彼女の過去が明かされていないので、次の作品へのブリッジなのかと今読んでみても思うのです。そして、それだけでなく、自称「名探偵」の巫弓彦のキャラクタは一作で終わらせておくのは惜しい気がしします。でも、この作品が上梓されてすでに12年も経ちますし、なにより自称「名探偵」に相応しい事件が簡単に舞い込む状況は、確かにご都合主義っぽくもあるので、難しいのかもしれません。実際、正式に依頼を受けた事件は、収録された3つの事件のうちひとつもない、ということを考えても、やっぱりそういう部分のリアリティは失えない部分ということでしょうか。 名探偵である巫弓彦と記述者であるあゆみ、それぞれの行く末は読者の想像に委ねられているようです。 2005.11.10 Thursday 21:28
街の灯 / 北村薫
士族出身の上流家庭・花村家にやってきた若い女性運転手。令嬢の「わたし」は「虚栄の市」のヒロインにちなんで、彼女をひそかに「ベッキーさん」と呼ぶ。そして不思議な事件が…。北村薫スペシャル・インタビューなども収録。 昭和七年を舞台にした、北村さんお得意の日常の謎系ミステリの連作短編集。文藝春秋の本格ミステリマスターズシリーズから出ているものの、いわゆる「本格ミステリ」とは違った趣ではありますが、昭和初期ならではの小道具の使い方が映える素敵でした。 江戸川乱歩、銀座の時計台、チャップリンの『街の灯』・・・。 それとともに、ヒロインの通学する女子学習院の様子をはじめ、昭和初期のハイソサエティの人々の交友や作法など社交生活の描写が、とても面白い。 併録されているインタビューによると、シリーズ化されるようなので、ベッキーさんとの出会いによって成長する「わたし」こと英子の成長物語としても、自作以降を期待できると思います。ベッキーさんの素性も徐々にあきらかにしていってほしい。 個人的には、北村作品のなかでのベストは、「時と人」シリーズ三部作の『リセット』です。今作(『街の灯』)にせよ、覆面作家シリーズも、「円紫さんと私」シリーズも好きなのですが、やっぱり『リセット』のスケールの大きさとドラマティックで深い感動には敵わないです。というか、『リセット』が北村作品のなかでも例外的な作品なのかもしれないと思う次第です。 今作はほぼ同時代の設定ということで、ふと『リセット』を思い返してしまいました。 |
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