読書・観劇記録、音楽メモを中心とした備忘録ブログです。
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ベルサイユのばら〜アンドレとオスカル〜 / 宝塚歌劇花組

1975年 於:宝塚大劇場

 

昭和のベルばらは初めて見ました。2000年以降のベルばらに慣れていたので、結構びっくりする描写があったのです。

まずはロザリーの書き込みの丁寧さ!育ての母が亡くなるところから、貴族である実の母ポリニャック夫人と再会するところ、オスカルを慕うところ、全くといっていいほど2000年以降の公演ではカットされていて、逆に新鮮でした。このロザリーなら娘役トップが演じてもやりがいがあるのではないでしょうか。現在のロザリーは娘役トップに相応しくない見せ場のないしどころのない役です。

あと、「アンドレとオスカル」というサブタイトルがついているのに、アンドレとオスカルの幼年期やジャルジェ将軍と家族が説明口調でオスカルについて語るシーンがないことも、びっくり。あと、オスカルが近衛兵から衛兵隊に転属する場面も、荒くれた衛兵たちがオスカルに心酔していく場面もないのはどうしたことでしょう。

個人的にはポリニャック夫人を演じる神代錦に惹かれるところが多いので、出番がそこそこあってよかったです。男役が演じる女役の醍醐味があって。男役をやっている映像って残っているのだろうか?1989年に在団のまま亡くなっていて、最後の出演作は専科公演のストレートプレイ『花供養』だと思われるのだけれど。それ以外、後期は出演頻度が少なくなっているので、上演する作品すべてを映像に残しているとは思えない時代なので、映像が現存することを信じてみたい。

オスカル安奈淳とアンドレ榛名由梨の演技は、さすが昭和のベルばら、前年の初演に続く再演で、説得力があるなァと思いました。上原まりのマリー・アントワネットは気高さは感じられるのだけれど、圧倒的な何かは感じられなかった。フェルゼンが松あきら。なんとなくそんなもんかと捉えられる存在でした。アントワネットに比肩する役であるロザリーの有花みゆ紀は初めて今回の視聴で存在を知りました。娘役としては組でどんな存在だったのかな。準路線でもなければ、こんな大事な役ふられないはず。ウィキペディアでもこれを書いている現在、載っていなくて、調べようがない。可憐な感じで儚げな印象を持つ娘役さんでした。

| coutaca | 映像 | comments(1) | - |
吾輩は主婦である

2006年 TBS系列「愛の劇場」

脚本:宮藤官九郎

出演:斉藤由貴、及川光博ほか

 

DVDボックスをお借りして視聴いたしました。貸していただいたAさまありがとうございました。ボックスのデザインが遊び上手で、素敵なアイテムとなっております。

語り手(というか夏目漱石の声役)の本田博太郎がおいしすぎるよ。過剰な演技、過剰な存在感、北京原人Who are you?は黒歴史なのかむしろ誇りなのか解らない感じなど、最近本田博太郎にツボを押されている私としては、15年前のこの作品の本田節もツボなのでした。

それも込みで、いやー、楽しかった! エンタテインメントとして完成度が高く、ひたすら面白い。役者陣も見事にはまり役。竹下景子は意外な配役だったけど、案外コメディエンヌなのですね、すごく飄々とした可愛らしい姑役がとてもお似合い。矢名家の夫婦、とぼけた主婦のみどりと漱石が乗り移ったときのギャップも愛らしい斉藤由貴と、軽薄なところもありつつ王子感が抜けきれないところも含めて夫のたかしを誠実に演じた及川光博も良かった。

漱石の乗り移った「ワガハイ」が周囲の人々に自然に受け入れられてるところ、娘のまゆみからも「ワガハイ」呼ばわりされてしまうところは、何でもありだけど細かな演出でどこかしらにリアリティを感じられる物語になっていた。

そして、よく考えると、十五年前の作品なのに、古さを感じない。スマホは流石にないし、携帯もゴツイ。もし、このドラマが企画されたのが令和三年の今だったら、ツイッターやインスタグラムとかキャッシュレスなども取り入れるだろうけど、根本的なテーマがどっしりしているからうまく成功するだろう。

 

みどり漱石が女性誌に連載を持ち、作家としてデビューして、そこそこ売れるというのは非現実的だなァとそこだけご都合主義が目立ってしまっている気がした。

みどりとたかしが大学のミュージカル研究会出身ということで、劇中に入ってくる歌はもっといっぱいあっても良かったのに。と思った。モンナシーヌ、魚は目を開けて眠る、シュールな歌詞が素敵でした。

みどり漱石が巻き起こすハプニングの数々によって、娘のまゆみ、息子のじゅん、古本屋の向かいのクリーニング屋でたかしの幼なじみのやすこ、やすこの夫ひろしらへの愛着がわいてくるので、最終話の古本屋の茶の間での全員集合シーンは感動した。

女性タブンの編集者・小松を演じた岡田義徳が十五年の時間を感じさせないくらい変わってないのに驚く。先日テレビで見て、結婚して子供もできたのに変わらないナーと思っていたところだったので、今の若さというか貫禄のなさを痛感させられる。

たかしの妹のももえの夫・柴田が再ブレイク前の有吉弘行、CM制作会社の若手社員(ADか?)が桐谷健太と、今や人気者の若き日を見られたのも貴重でした。有吉は猿岩石時代から通じてあまり変わっていないものの、桐谷健太はちょっとチャラくて小汚い感じが今とは別人のような変わりよう。

 

最後、これ以上みどりの体にいることを良くないと思い、家族、町の人々、その他多くの人々に「遺書」を大量に手書きして残し、みどり漱石は姿を消してしまう。

最終話は本田博太郎が登場し、重要な役回りを演じる。ラストシーンに至るまで、見ていて幸せになれるドラマだった。

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ベルサイユのばら2001─オスカルとアンドレ編─(新人公演) / 宝塚歌劇星組

2001年 於:宝塚大劇場 新人公演

 

ベルばら2001のオスカルアンドレ編は何度も映像で見た。NHK総合の深夜にやっていたものを録画したんだ。稔幸オスカルと役替わりアンドレは香寿たつきのコンビだった。役替わりは東京のみ香寿のほかは樹里咲穂と湖月わたるが演じたらしい。香寿たつきの色気のある存在感にアンドレはぴったり適役だったように思えた。この作品は東京公演が宝塚大劇場公演より先に上演され、この新人公演はつまり、東京公演を経ての二度目の公演となる。

毎回ベルばらを観るたび思ってしまうのだが、プロローグの小公子と小公女の語りは必要なのだろうか。物語の導入として、夢の世界へ現実からつれていく役割があるといえばそれまでだが、なくてもいいと思えるのだよな・・・。

主演のオスカル役は真飛聖は、持ち味としてはワイルドさもあると思うので、アンドレでも似合うように感じた。けれど、その荒々しさを具えたオスカルはとても清々しく見られた。トップ娘役は本公演ではマリー・アントワネットだったので、出番も少なかった(その他のオスカルとアンドレ編に比べると出番は多いとはいえ)。本役の星奈優里はサヨナラ公演だったので、それなりに配慮はされていた。新人公演では配慮はされなくても構わないはずだが、出番など、配慮されていたと思う。柚希礼音演じるアンドレは、若手で抜擢とはいえ、真飛聖の相手役として遜色ない演技をしていた。

新人公演で一幕にするためにカットされた場面はなくてもなんとかなるものだと思うのだけど、ジャルジェ将軍や夫人、その娘たちが花を摘むシーンが始まった!と思ったら違うベルサイユの貴族の娘たちが春の到来を喜んでいて、ジャルジェ将軍たちが出てこなかった。少年時代のオスカルとアンドレも出てこないのは少し淋しかった。オスカルの死で幕切れなのも、ちょっとさっぱりし過ぎかも。ガラスの馬車に乗ってふたりが天国で結ばれるシーンはやはり欲しいなと思う。

カーテンコールでの真飛聖の主演者挨拶が可愛かった。ちょっと焦って言葉が適切に出てこないのは舞台人としてはどうかと思うが、新人公演ならご愛嬌。とても初々しくて良かった。

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ベルサイユのばら─オスカル編─ / 宝塚歌劇宙組

2014年・於:東京宝塚劇場 役替わり アンドレ:朝夏まなと

 

千秋楽の映像でした。

オスカルが生まれる場面は初めて見るパターンでした。アンドレが説明口調で、古傷のせいで目が見えなくなってきたと語るのもこれまであったかもしれないけど、あそこまで説明台詞なのはこれまでなかった気がします。緒月アランも滔々と一人語りするし。説明口調一人語りが多いのはベルばらの、というか脚本演出の植田御大のこだわりなのかもしれないけど、他のベルばらと比べても今回はそれが目立つ気がします。

朝夏まなとアンドレは役替わりで緒月遠麻も演じていたそうです。それはそれで凰稀かなめオスカルとの相性は良かったと思うし、見てみたいですね。でも、朝夏アンドレは演者の陽性の持ち味を抑えて、暗い情熱を演じていて、それが素敵でした。

緒月遠麻は組配属、組替え、タイミングなどが合えばトップにもなれたと今でも思うのですが、トップスターになることがすべてではないとはいえ、その点では恵まれなかったのかな、と。同期の凰稀かなめと同時退団というのは幸せな結末だったのだと信じたいです。

 

凰稀オスカルはとにかく美麗。凛としたなかにある弱さも魅力的に演じていたと思います。前年の雪組に特出でオスカルを見事に体現していたのと、大千秋楽で役として生きるのにこなれてきたことなど、要因はいろいろとあるでしょうが。

できれば朝夏オスカル、凰稀アンドレも見せてほしかった。凰稀かなめの芯のある佇まいや、憂いも帯びた美貌はアンドレでもいけると感じるんです。でも、緒月オスカルというのはさすがに男らしすぎて役に合わないので無理な気がします。やってみたら案外いけるのかもしれませんがね。

 

公演の最後に退団者の挨拶なるものが収録されておりました。名前だけ知っていた人、全く存在を知らなかった人、六人の退団挨拶が興味深かったです。宙組の五人と、専科の一名。専科の一原けいさん、お名前だけは存じていましたが、ここ最近はあまり登板していなかったような気がします。専科生の退団までの使われ方としては、未沙のえるさん、星原美沙緒さん、立ともみさんなど、休みがないんじゃないかと感じるくらいの登板回数の人気者と、ほとんど特出されないかたに別れますよね。一原さんは元気に挨拶されていましたが、舞台に立つ頻度は本人の希望で少なかったのか、作品に呼ばれる機会が少なかっただけなのか、どちらだったのでしょうか。調べてみると、一原さんは14年間で8回の特出。そのうち3回が大劇場公演。3回のうち2回がベルばらでマロングラッセ役。5回の別箱公演というのも多いとは思えません。そんなに少なくはないのかなァ。今の専科さんでいうと、汝鳥伶さんとか出ずっぱりなイメージがあります。宙組から路線スターで専科に入った北翔海莉さんも引く手あまたで、大忙しだったなァ、などと関係ないことばかりを思い出してしまいますなあ。

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黄昏ペンライト

ラジオドラマ FMシアター NHK-FM

 

ラジオドラマで音声だけの劇だけど、当てはまるカテゴリがないので「映像」に分類させていただいた。

宙組元トップスターの大空ゆうひが主演を務めるというので、聞いてみた。

K-POPの熱狂的なオタクとして活動しているが、会社ではそれを隠している。その生活の中、ある日突然それまで好きだった曲やアーティストに熱くなれないことに気がついてしまう。それが主人公のヒトミ。母の手術のため実家に帰り、瀬戸内海のフェリーに乗ったヒトミは、高校時代同じフェリーに乗り合わせていた佐和子と再会する。

佐和子役は元雪組のスター彩吹真央。ふたりとも自然な感じが魅力的でした。

佐和子は実は死んでいて、ヒトミにしか見えないという設定。娘を思う亡き母でもある。

 

1時間という限られた時間で、少人数で紡がれる物語。

なんてことのない日常と非日常が交差して、突飛な設定もさらりと耳に馴染んで、抵抗なく頭に入ってくる。結末もそんなに劇的ではないけれど、淡い余韻を残して素敵だった。

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翼ある人びと─ブラームスとクララ・シューマン─ / 宝塚歌劇宙組

2014年2月 於:シアター・ドラマシティ

 

いやあ、美しい作品だった。朝夏まなとの求心力、緒月遠麻の迫真の演技、伶美うららの息をのむ美しさ、それぞれの繊細な演技。哀しい物語ではあるのだけれど、悲劇ではない。

ブラームスの若き日、シューマン夫妻との心の交流が美しく描かれている。誰も悪くない。ブラームスがクララ・シューマンに惹かれていくのも、横やりや不倫ではなく、自然の流れとしての必然であり、クララのシューマンへの強い想いも繊細な描写で表現されていた。ブラームスとクララの別れの接吻もまた、哀しくも美しいものだった。

主要キャストではないけれど、凛城きらの「ベートーヴェン?」が印象的だった。ブラームスが舞台から客席から退場するときもさりげない存在感が、よかった。

 

遅まきながら、伶美うららの歌声を聴くのが初めてでした。各所で酷評されているので覚悟して見たのですが、何か感情が乗っていて、下手ではないと思う。演出の上田久美子がこだわりで、彼女の声域に合わせて曲を作らせたのではないかと邪推するほど、自然だった。

上田久美子の力量は流石だな、というほど物語に込められた人間ドラマ、隅々までのキャラクタの個性が書き込まれていて、見ていてノーストレス。

緒月遠麻の病が進行していく演技は怖いくらいだった。すみれ乃麗のルイーゼは冒頭と終盤に老い役もあって、若い頃の芝居とうまく緩急がとれてきていたように感じた。各所に散りばめられたお馴染みのピアノ楽曲も楽しめて、面白かった。

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ベルサイユのばら─フェルゼン編─ / 宝塚歌劇花組

1990年 於:宝塚大劇場 オスカル役替わり・安寿ミラ

 

平成のベルばら、初めて拝見しました。安寿ミラオスカルのほかにも真矢みきオスカル版もVTRが残っているようで。でも、安寿ミラオスカルはマニッシュだけどフェミニンという芯のある絶妙なオスカルっぷりでよろしゅうございました。話にはよくうかがう朝香じゅんさまアンドレも麗しく格好いい姿で、ファンの方はさぞや・・・と思う次第です。

稀代のダンサー大浦みずきのために、ダンスシーンを追加して「踊るフェルゼン編」となったと聞いております。ところどころに踊りがちょっとずつ入るのかな、と思っていたら、比較的序盤でがっつりショーっぽい場面があるきりでした。あの時間を絞りだすことができるのなら、もう少しアントワネットの出番を・・・! もっとひどいバージョンもあったけど。フェルゼンとアントワネットの出会いの仮面舞踏会は初めて見たけど、あったほうが二人の恋路に説得力が出るので、平成のベルばらより後でも残しておいてほしかったな。2001のフェルゼンとマリー・アントワネット編は見てないからどっちだか解らないけど、それ以降は多分カットされていると思うので。

ろくでもないフェルゼンだけど、大浦みずきがやるだけで場が締まるというか、とても魅力的に見える。華やかで妖しい色気も出ている。植田歌舞伎も堂に入って、それがまた映えることったら。ひびき美都は顔の造作が丸っこいので、庶民的な美人さんて感じ。気高いオーストラリアからフランスにお輿入れした女王としては説得力に欠けるかも。ロザリー似合いそうだな・・・。

あと、フェルゼンが帰国を国王に報告する謁見のシーンがめっちゃ質素だった・・・。すごく華々しいこれぞベルサイユ宮殿!といった衣装を着た貴族たちが大勢で国王を敬うというイメージだったので、以前はあっさりと王の部屋で四、五人くらいしか出ていなかっただったことに驚いた。

 

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外伝 ベルサイユのばら─アンドレ編─ / 宝塚歌劇花組

2009年 於:東京宝塚劇場

ジェローデル、アラン、ベルナールの各人を主役に据えたベルばら外伝三部作の集大成としてアンドレ編がつくられた・・・と当時の記憶。表現は違ったかもしれないけど、四部作といったほうが良くないか?と思ったのは確か。

そして、平成のベルばらではアンドレ編というバージョンがあるにもかかわらず、敢えて外伝で上演するのはどうなのか?

それはともかく。冒頭からアンドレとその幼なじみのマリーズが話すフランスのプロヴァンス地方の訛りが、福岡あたりの方言になっていたけれど、これは植田御大のセンス?誰のアイディア?「しとっと?」とか、日本の九州地方の訛りがフランスにおけるプロヴァンスなのであろうか。

どうにせよ、疑問がわくところの多い作品です。フェルゼンが出番の少ないちょっと目立つ程度の役で真野すがたが演じているのだけれど、正直いらない役だったなァと思いました。オスカルにアントワネットとの別れを進言され、逆ギレしてオスカルに「君になじられるのが辛い」的な独白をさせておきながら、次の登場場面ではアントワネットとの別れを決意し、オスカルに挨拶もせずに別れると言ってフランスを去るのです。逆ギレから別れまでに何らかのきっかけはあったと推察されますが(メルシー伯爵の進言とか)、それは語られることはない。得意の説明台詞でも語られない。なんか思い付きでスウェーデンに帰った印象を受けてしまう。アントワネットを出さないのならフェルゼンも出さなくてよいのではないか。それともやはり、オスカルの想い人ということで、アンドレとの対比がされるので必要だったのであろうか。

 

で、外伝でアンドレ編をする意義はあったと思う。オスカルの比重が低くなる分、アンドレのオスカル以外の人間関係が描かれていて、良かったと思う。といってもマリーズとマロングラッセぐらいなもんだけど。アンドレがオスカルの決意を知りながら、マロングラッセのたっての頼みをきいて、ブイエ将軍にオスカルがパリに進駐するのを配置換えすることで止めようと願い出るところは、「それはないだろ〜」と引いてしまった。でもよく考えると、オスカルの命を救いたいという気持ちと、マロングラッセの強い思いが、アンドレを行動させたのだろうけれど、死をも恐れないオスカルをベルサイユに留めることができないことは、アンドレも知っていたはず。アンドレをダメもとでブイエ将軍の邸宅に訪れさせたのは、マロングラッセのオスカルに対する愛情と、アンドレのマロングラッセへの愛情が人一倍強かったからなのだろうなァ、と考えると切ないエピソードではある。ただマリーズと再会するための都合だったら、嫌だな。

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ベルサイユのばら─オスカル編─(新人公演) / 宝塚歌劇雪組

2006年 於:東京宝塚劇場 新人公演

沙央くらまオスカルは硬質で、本役の朝海ひかるの背中を見ているなァ、と感じました。主演娘役であるはずのロザリーも、本公演では存在するトップコンビという制度がないので、晴華みどりの歌のうまさと可愛らしさを押し出すことができ、出番の少なさもストレスフリーだった。

フェルゼンとアントワネットが本公演同様、登場しないのでオスカルアンドレのエピソードに集中できる。オスカルとアンドレ編は2013年の月組の新人公演もそうだったけど、演出がうまいからなのだろうか、新人公演なので割愛したシーンもあったはずだけども、気にならなかった。ベルばらはいろいろなエピソードの組み合わせで出来ているから、どこを外してどこを使うかの選択で作品の出来が決まるというのは、新人公演のみならず本公演にもいえると思う。

凰稀かなめのアンドレは暗い情念みたいなものを感じさせて、いいアンドレだった。緒月遠麻のアランも血気盛んだが妹思いというツンデレぶりも勢いがあってこの後の活躍を暗示しているかのよう。メインキャストじゃないのだけれど、愛加あゆのルルーにびっくりした。当時、本人も六年後にトップ娘役になるとは想像もしていなかったでしょう。とにかくおちゃめで可愛い。

凰稀かなめアンドレは堂に入った感じ。役替わりでいろんな本役を見てきたからだろうか、それとも当時から男役芸が確立できていたのだろうか。

当時、沙央くらまは劇団が爆推ししていた憶えがある。雑誌とかにも出ちゃって。月組に組替えして、しばらくして専科生となるとは誰が想像できよう。凰稀かなめはその後星組に組替えし、短期間で今度は宙組に組替えし、トップスターになった。トップスターになるな、という劇団の気概が感じられる生徒がままいる。これを書いている現在では永久輝せあとか。沙央くらまも当時はそんな感じだった。いつの間にか別格スターになられてしまって。宝塚の専科にも幅が出てきて、別箱で主演公演をするような路線系スター、路線から別格スターになり各組の公演に華を添えるスター、映像の世界で活躍するためにおそらく一時的に専科に籍を置くことになったスターなど、脇を固める芸を極めたお姉さまばかりではなくなった。トップオブトップの轟悠の存在も大きい。

話が逸れてしまったけれど、ベルばらの新人公演は歌唱力に不安がある出演者が歌うところもままあるが、総じて質が高い。主なキャストには初々しさを感じることが少ないというか。ベルばら独特の芝居ができる組で然るべき時に上演しているのだろうか。マリー・アントワネット生誕250周年記念とかでもやってたからそうでもないのかな。エリザベートのタイトルロールを適任者がいないといって、他組の若手男役を抜擢するようなところだからな。ベルばらはチケットも取りづらいし、オリジナル新作のほうがありがたいけれど、やっぱり観たいと思わせてしまう魔力はある。そろそろ演出に大胆な解釈を加えてもいいのでは? 前にも書いたかもしれないけれど。

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ベルサイユのばら─フェルゼンとマリー・アントワネット編 / 宝塚歌劇花組

2014年 於:中日劇場

2013年の雪組の「フェルゼン編」と比べると、「フェルゼンとマリー・アントワネット編」とあるだけあって、蘭乃はな演じるアントワネットの扱いが良くはなっていた。アントワネットのソロ歌唱もあれば、ルイ16世と子供たちとの幽閉生活なりの僅かな平穏が描かれていた。

あと、オスカルとアンドレの回想シーンが衛兵隊が市民側につき、ふたりが戦死する場面だけになっており、「今宵一夜」がカットされていた。オスカルの芹香斗亜とアンドレの望海風斗のファンには残念かもしれないけれど、作品的にはバランスが少しはとれているので英断だと思う。

マリー・アントワネット編であるからには、少女時代もあって然るべきだと思うけど、難しいのかな。

 

2024年に迫ったベルばら初演50周年では、きっと盛大に祭が行われるのだろうな、と考えます。四年後といえば、これを書いている時点でトップになりたての柚香光と礼真琴が君臨していてくれるかな?という微妙な頃合いですね。ふたりと同じ95期生の路線スターもトップになっているかどうかは解らなくとも、そのときまで輝きを放って活躍していただきたいものです。

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