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2022.02.19 Saturday 18:29
絶対猫から動かない / 新井素子
絶対猫から動かない 新井素子 KADOKAWA 2020年3月
キャリア初期に出された『いつか猫になる日まで』の主な登場人物たちが二十代の若者なのだけれど、その五十代バージョンを編集者から提案されて書き上げた作品だそうです。SF色が濃いものの、読み終えたらファンタジーの余韻が漂う感じでした。主な登場人物についてひとりずつ書き出していきたいと思います。 大人がメインキャストなので、それぞれ背負うものがあるところは共感できます。教師になって間もない佐川逸美は二十代前半と思われますが、教師としてのプライドが社会人のそれと通じていて、未熟さも垣間見えながらも、生徒という守るべきものを持った大人なのです。
物語のあらすじを書けないのは、うまく要約できないから。それぞれのキャラクタの視点からのストーリーが交差しながら話が進んでいくので、ざっくり言うと、地震で一時停止した地下鉄の西武有楽町線の車両の中が、物語の主な舞台。そこに居合わせた人々の群像劇。彼らが、夜、夢の中で車両の中の過去が再現されてしまうという事態が起こってしまう。なぜ、夜の夢に閉ざされたのか、彼らは手探りで解決しようとする・・・。なんて、簡素なあらすじしか書けないです。
あと、蛇足かもしれませんし、ネタばれになるかならないか解らないですが、『・・・・・絶句』の「異質なもの」的存在が三春ちゃんなのかなー、と思ったりしましたが、違いましたね。 2017.05.05 Friday 21:14
未来へ…… / 新井素子
いつの間にか出ていて、文庫版が発売の報を聞いてこの作品が出版されたことを知る始末。新井素子アンテナがうまく働かなかったようだ。反省。ということで、『イン・ザ・ヘブン』という長編も出ていたこともスルーしていたようなので、こちらに関してはいずれ。
『未来へ……』は、読者を引き込む力はすごいあると思う。読んでいて次に何が起こるか解らない、次を知りたい、と読み手を翻弄する力。 でもなー、ふたりの主人公、母と娘なのですが、このうち娘の一人称語りの部分がちょいと辛い。文末が「なんですー。ふにー。ぐっすん。」だったりするのです。癖の強さも新井素子節ではあるけれど、ちょっと厳しいかな。でも。
先述した通り、本編は、読ませる作品でした。だから多少違和感を文体に感じつつも、許せてしまう。私は。 SFらしいとはいえないものの、一種のタイムパラドックスものになっていて、ひょっとしたら夢オチなのかもしれぬと思わせながらも、最後がふわっと着地した感じに好感をもちました。 ゴリゴリのハードなSFを期待していると肩透かしをくらうかもしれませんが、佳作です。よかったです。 2013.12.06 Friday 22:15
星から来た船 / 新井素子
星へ行く船シリーズの番外編、上中下巻であわせて600ページの作品。 星へ行く船シリーズ本編の前日譚だし、関係なく独立した一作品としても楽しめます。 これまで読まずにいたのが不思議なくらいでしたが、発表から20年のときを経て、読むことができてしあわせに思います。 ドタバタ・コメディなのは相変わらず。新井素子文体が炸裂しています。 あとがきの中でも書かれていますが、何が変化・進化して発展していくのかが予想不可能なので、どうしても違和感をおぼえる部分が出てきてしまうのです。 この作品が雑誌連載を開始した1990年から、2013年末までの23年。なにはともあれ、インターネットと携帯電話の普及は近未来を描くうえでかなり影響を与えたファクターだと思われます。携帯電話そのものもメールもツイッターも、ない。現代には当たり前のサービスも、登場しないだけではなく、存在しない。 でも致し方ない。それだけ激動の進化を遂げた20年余、そこは想像もつかないのも当然。 SFの難しいところでもあり、醍醐味でもあるのでしょう。 あと、「まい子」という表記がしばしばみられるのですが、「迷子」という表記じゃないのは何か理由があるのだろうか。普通、使うとしたら迷子のほうだよなぁ。謎だ。 2011.02.28 Monday 17:50
もいちどあなたにあいたいな / 新井素子
もいちどあなたにあいたいな、と平仮名で書かれてしまうと、何故か不穏な空気がたちこめてしまう気がする。 『あなたにここにいて欲しい』、『くますけと一緒に』みたいに、精神的な、ある意味でのホラー的要素がふんだんに盛り込まれているのではないかと思ってしまった。 または『ハッピー・バースディ』的なものを。 新井素子は紛うことなきSF作家であるにもかかわらず、また日本SF作家クラブ会長であるにもかかわらず、その人の久々の長編新作がSFであるとは何故か予想だにしなかった。そんな自分の愚かさを恥じる。 で、この作品を読んだ私の感想はといえば──。 2007.04.21 Saturday 22:08
明日も元気にいきましょう / 新井素子
SF作家としての活動が微妙に滞っている新井素子女史のエッセイ集。 「あったら便利な夢のグッズを描いたほのぼのコミカルエッセイ」とのことで、やはり解りやすく身近でいかにも生活感のあるお話ばかり。 「あるといいな、こんなもの」と「あるとこうなる、いろんなもの」の二部構成。 スケール感には乏しいけれど、それでも新井素子ワールドは健在。 個人的には、小説の新刊を待ちわびているのですが、寡作な女史のことなので、のんびりと気長にかまえていようと思います。 2006.05.20 Saturday 08:47
あした / 新井素子
日本SF作家クラブ編『2001』所収。『チグリスとユーフラテス』の外伝。とはいえ、舞台は惑星ナインではなく、地球。レイディ・アカリ(灯)の実妹、藤波標(しるべ)が主人公。 最愛の姉は、すべてを捨てて夫とともに惑星開拓船に乗り、不帰の旅へ出た。その影響を受け、恋愛感情を適切に育むことができなくなった標が、実用段階に至る直前のコールドスリープの人体実験に参加し、10年の眠りに就く、その前夜の問わず語り。 ほんとにごく短いはなしです。そして『チグリスとユーフラテス』を未読の人には推奨できない作品。しかし、それなりの味わいがあり、本編の奥行きを増してくれる。 描かれてはいないが、標のコールドスリープは成功するのだ。そして惑星ナインへとその技術が伝達され、アカリは90の齢で眠りに就き、「最後の子供」ルナのもとで目覚める。 アカリは四百余年のときを、標は十年を、コールドスリープによって飛び越える。 おそらくは、アカリが眠っている間に標はこの世を去っているであろう。そのことを標は知る由もない(ひょっとしたらコールドスリープを再度使用しているかもしれないけれど)。 標が逃避した当の恋愛は、時間をスキップしてさえも、追いかけてきたのだろうか? 2006.05.05 Friday 21:23
チグリスとユーフラテス / 新井素子
「滅び」、あるいは「終わり」についての物語。 惑星ナインにおける最後の子供・ルナと、コールドスリープから目覚めてゆく女たちの物語。 地球からの移民によって開拓された惑星の盛衰が、極限において回想されていき──、そして、惑星の創始者・レイディ・アカリは、果たして何を告げ、何を為すのか。 ちょうど十年前に雑誌に掲載されたこの作品の第一章を読み、それからしばらく経って発売された単行本を購読して以来、久々の再読でした。 何らかの理由による人類滅亡を題材にした創作物は多いと思う。新井素子にも『ひとめあなたに』でそうした設定の作品を発表している。それもまたドラマティックな滅び、終わりの一形態ではある。 『チグリスとユーフラテス』のように、少しずつ、ゆるやかにヒトが終えていくというアイディアも、今の日本のご時世では目新しいものではない。しかし、その舞台が実在する固有の場所でも、地球上でもなく、他の惑星であるという虚構であることによって、逆に今、日本で認識される状況を想起せずにはいられない凄みを感じてしまう。 相変わらず、新井素子の独特の文章表現は、閉塞感のあるシビアな筋書きでも、軽いタッチで読ませてくれる。全体としてスケール感のある、壮大なテーマを扱っているにもかかわらず、決して荘厳な雰囲気を読み手に伝えない、というのは、やはりこの人ならではの技だ。 独特の選語センスによって、「奥津城」とか「鬼籍」とか、いくらナインという星が日本文化を基盤としているからといって、ちょっとSFにはそぐわないような単語が出てくるのは気になる。 総じて、新井素子の文体が嫌いな人は、それを堪えて読み通すには随分と長いお話なので、やっぱりお薦めできない作品であることは確か。 ともあれ、この作品が作者にとっての代表作のひとつであることは間違いないわけで。SF作家ゆえ、スケールの大きいもの(『・・・・・絶句』とか、『緑幻想』とか)は少なからず見受けられるけども、やはり、これを他の作品と一緒くたにしちゃまずいでしょ。 外伝として、「馬場さゆり」と「あした」という短編が、アンソロジーや雑誌に掲載されているようです。本作自体で満足できているので、無理に読む必要はないのかな、と思いつつも、やはり興味をそそります。 それよりも遅筆を公言してはばからないとはいえ、もう二、三年は小説の新作が出ていないので、そちらのほうを期待しているのですが。忘れた頃にやってくる天災みたいな作家になっちゃった感がさみしいです。 |
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