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松本隆/風街図鑑~風編~ (JUGEMレビュー »)
オムニバス, 原田真二, 薬師丸ひろ子, 松田聖子, 近藤真彦, 太田裕美 1曲ごとに寄せられた本人コメントが面白い。思い入れの濃淡に思わずほくそえんでしまう。 RECOMMEND
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2019.05.15 Wednesday 21:24
空色勾玉 / 荻原規子
勾玉三部作と呼ばれるシリーズ、といっても内容は全く独立しているのですが、その第一作にして著者のデビュー作。 解説に書かれている通り、国家の期限を描く神話として秀逸であるとともに、エンタテインメントとしても楽しめる名作だ。 輝(かぐ)と闇(くら)の対立、それぞれの血を引き、相反する属性をもちながらも出会ってしまうのが、巫女姫の狭也と、大蛇の剣の主である神の子・稚羽矢のふたり。 彼らが古代の日本で、まだ国生みで生まれた神が永遠の生命をそなえ、人として姿を保っていた時代のお話。 古代に暮らす人々の日々の営みが生き生きと描かれていて、そこに息づく登場人物の魅力的なことったら。 照日王と月代王が人間臭い部分も見せながらも、神として超然と存在している様子に、国生みが行われてから三百年しか経っていないという近い過去に生々しさを強く感じることができる。
中学生の時に一度読んだことがあるはずなのですが、勾玉三部作の他の作品と記憶が混同しているところもあったようで、ところどころ覚えている部分はあったものの、新鮮な気分で読み進められた。 終盤の怒濤の展開や、幕切れのあたたかさも、とても読みごたえがあって素晴らしい。 稚羽矢の無垢さ、狭也の強情さ、照日王の峻烈さ、月代王の厳しさ、鳥彦の飄々とした在り様、伊吹王の篤い心持ち、皆物語にうまくはまり込み、記憶に残る佳作だ。 2015.07.02 Thursday 18:38
宝塚歌劇 華麗なる100年 / 朝日新聞出版編
2015.04.19 Sunday 17:57
ラン / 森絵都
なかなか不思議な読み心地のする一冊でした。 軽やかなようでいながら、不意に痛みの鋭さを目の当たりに感じる瞬間もあったりする、不思議な感覚の読み味。 ヒロインの環は、喪失感を抱えて孤独な日々を生きている。 ひょんなことから行けるようになった死者が留まる世界では、事故で亡くした家族と会えるようになる。 現実の生活では、走ることから出会ったランニングチームで個性的な人々と知り合うことになる。 死者の世界と、職場やジョギング仲間との現実との間で、葛藤する環や周囲の人々の成長が描かれている。 「ドコロ」さん。彼がなぜ走ることをやめ、なぜ二十五年経って再び姿を現し、素人を集めたランニングチームを作ったりしたのか? 彼の物語が、チームに入ることとなった素人たちの個別の物語に影響を与えていった。彼がいなければ、この『ラン』の物語は紡がれなかっただろう。 死者の世界に行き来することがいつの間にか心の支えになっていた環。 事故で亡くした父母弟の三人とのかけがえのない時間を過ごすようになる。しかし、二年前に病死した奈々美おばさんは死んだ家族に依存することをやめ、現実の世界だけで生きていくよう意見をする。 前を向いて生きることが、徐々に力まずにできるようになっていく環。様々な出会いと別れが彼女を強く、大人にしていく。走ることが繋ぐ縁にサポートされて。 重要な設定や大切なエピソードなど、書いていないところは多いのですが、それは読んだ方が実際に読んだ際に気づいてくださればいいかなと思います。 2013.10.03 Thursday 20:54
夜は、待っている。 / 糸井重里
文字の大きさ、フォントはそれぞれに異なっていて、写真がちりばめられているところもある。ソフトカバーで、ページの断面はグレイに染められている。 途中から東日本大震災や原発を意識した内容のページも増えてくる。 糸井重里の言葉は全面的に諸手を挙げて絶賛したいというほど好きではないのだけれど、今作はわりかし好きです。 ゲストも豪華で、谷川俊太郎、矢野顕子など、他分野にわたっていて流石の人脈。 どこから読んでも大丈夫な構成なので、気を楽にして寝る前に思い思いのページから読むのにいいと思います。 2007.02.24 Saturday 02:33
ブルー・ノート / タクマクニヒロ
まず、装丁が素晴らしい。空のいろんな表情が楽しめる、そんな写真集。デジカメ恐怖症の私としては未知の領域ですが、写真を撮るということの意味を改めて考えさせてくれました。 文章もまた大人の魅力たっぷりな優しげな文章。 他人と競争するのではなく、本当のライバルは昨日までの自分です。 カッコイイ! ちょっと写真を撮ってみようかな、と思わせてくれるようなタクマさんの人生論が、熱い! 御縁があったら氏のワークショップに通ってみたいなぁ〜と、つい思ってしまう今日この頃。 2006.11.29 Wednesday 22:24
凹村戦争 / 西島大介
北野勇作の『どーなつ』のイラストで気になっていたものの、このかたのことを別段気に留めることはなかったのですが、店頭でみかけてつい購入。コミックを買うのは久しぶり。 帯文が「きみとぼくの非日常に隠されたメタとネタと萌え SFはここから変わる」という東浩紀氏によるもので、そこには若干ひきぎみではありましたし、実際読んでみてもメジャーどころばかりとはいえ、自分が見たことのない映画とか小説とかばかりが作中に出てくるので、肩身が狭い気分になったりしていました。 でも、まあ普通に面白かったと思います。意外だったのは、岡崎京子の『リバーズ・エッジ』をふつふつと思い出してしまったことでしょうか。 ジャンルも起きる出来事も違うのだけれど、共通する点(猫とか)があるし、なにより描かれている世界観に対する作者の眼差しが似ているように感じました。 そしてあとがきの文章「最悪で滅茶苦茶で容赦のない世界に対抗する唯一の方法。/最高に滅茶苦茶に容赦なくやること。」ということばが端的にそれを物語っていると思います。 『リバーズ・エッジ』が描いた90年代の日本の高校生たちの日常のなかのリアリティと空虚が、SFであるこの作品の外界から隔絶された村で暮らす22世紀の高校生たちのそれと通底することに、不思議な感慨をおぼえたことは事実です。 2006.09.30 Saturday 04:41
南の島のティオ / 池澤夏樹
さわやかな風の匂い。通り過ぎていく人々や動物や魚たちの記憶。神々は言葉なく秩序を語り、すべてをのみこんでいく──。 教科書に掲載されていた「星が透けて見える大きな身体」でこの本の存在を知ったのでした。 改めて読み直してみると、児童書に分類されているだけあって、文章はとても平易なのにどこか力強い。必要最小限の言葉で描かれているにもかかわらず、たとえば岬の先で海に飛び込みながらじゃれあう子供たちのいきいきした姿は目に浮かぶような印象を残す。 魔法のような花火で絵を描いて遠い目をしたリランとともに消えてしまった謎の男、神々の怒りを買って墜落死した男、強い意志によって生まれた島へ戻るエミリオ、天の者に呼ばれたアコちゃんを取り戻したティオたち。 なんか読んでいてこの南の島に息づく力に引き寄せられるような気分になりました。 「帰りたくなかった二人」は、自分の日常をすべて捨ててしまいかけるほど島に心を奪われてしまいます。 私事ながらこの夏にはじめて行った沖縄の離島に、それほど強烈ではないものの、そのような引力を感じました。便利で娯楽も選び放題の東京以外での生活は考えたこともなかったのですが、島の懐の深さのなかで日々を過ごしたら、こういう自然と共存するのもいいなァ、なんて思ってしまいました。大袈裟に言えば価値観が揺らいじゃったような経験を経て、ティオたちの島の魅力がかつて読んだときよりもぐっと迫ってきたのでした。年はとるもんです。 ま、このお話の二人ほど魅了されたわけではないので、再訪は簡単にできる・・・と思いたいのですけど、自分の繋縛されっぷりを適切に自覚できてないだけなのかもしれないですね。 2006.07.19 Wednesday 23:16
水滴 / 目取真俊
こわいこわい。ホラーっていうか、ファンタジーっていうか。いや、もちろん純文学なんでしょうが、純文学って敬して遠ざけるだけのような気がするので。 とりあえず、情景描写が丁寧で、美しい。それが屍をグロテスクなまでに細やかにその景色を想像させる文章。文章自体がこわいわけじゃなくて、読み終えたときの心持ちがこわいのです。 戦争を知らない世代が戦争を描くことの難しさ、とともに、知らないからこそ一歩踏み出して書けるものもある。物語は書き手の経験によって左右されるものでは、必ずしもないけれど。 三篇目の「オキナワン・ブック・レヴュー」は、何度チャレンジしても途中で挫折してしまって読了をあきらめました。濃厚すぎてそのときの自分にはどうしても合わなかったのです。題名の通り、架空の雑誌の書評欄という設定で文章が連ねられていく形式なので、ちょっと独特で濃厚な沖縄の要素をもろにかぶってしまった、というかなんというか。 「水滴」 芥川賞受賞作。南の島の陽気と、周縁として琉球‐日本‐アメリカの間で政治的に揺れ動いてきた歴史とによって、複雑に入り組んだ文化を醸成してきた沖縄の姿を切り抜いた一例として、優れているように思う。かの島がどういう土地の記憶を持っているか、それが住民にどれだけしみとおっているかを端的に示しているのではないか。 兵士の幽霊が男の腫れた脚から滴る水をねぶりながら呑む様子、その水の不思議な効能を知って売り飛ばす男の甥など、おかしみとともにうらさみしさも湛えていて、なんとなく素敵。 「風音」 映画化されたようです。ちょっと見てみたい。でもこの筋立てをそのまま映像化したとしたらそれはそれで興醒めしそう。脚本を目取真氏が手掛けたとのことで、勿論、それなりに潤色されてるとは思うのですが。 ふたりの男の沖縄戦についての記憶が絡み合い、崖の上の壕の風葬場からひっそりと海を眺める頭蓋骨の鳴らす音が消え・・・。 頭蓋骨の生前の姿が果たして、男を戦地から帰らしめたものかどうか、はっきりとは描かれないままなところは、解りやすい話筋であることを敢えて拒絶しているし、ラストシーンは決して希望とも絶望ともいえないものの仄かな安堵感をおぼえたりしてしまって、不覚にも感情に押し流されかけてしまいました。 2006.05.26 Friday 22:11
ダブ(エ)ストン街道 / 浅暮三文
舞台は、ダブエストンだのダブストンだのダベットンだの、と呼称の定まらない場所。そこへ迷い込んでしまった夢遊病の恋人タニアを連れ帰るため、健二もまたその不思議な場所へとたどり着いた。奇妙な秩序によって制されたその地で、果たしてタニアを見つけ出すことはできるのか? 郵便配達夫アップルとともに、ダブ(エ)ストンの奇妙な住人たちと出会いながら、ひたすら前へと進んでいく・・・。 という、ファンタジー小説。メフィスト賞受賞作です。 独自の文化が形成されていて、それが面白いのです。 郵便物の配達料は現物を一緒にポストに入れる。それだけでなく、お金というものがなく、すべてが物々交換。とか。他にも読んでいて楽しくなるような規範がいろいろ出てきます。 そして、この話の特徴的なのが、主人公ケンこと健二とアップルの旅路とともに挿入されるのが、幽霊船の幽霊兄弟、足だけのガリバーと下半身のないダスティー・ミラーの航海の様子と、王国プーナンの裸の王様と執事ピエールたちの御幸の様子が同時進行していくところです。この三つが非常に接近しながらも、出会わなかったりする。最終的にどうなるのか・・・と楽しみつつ読み進めました。 それにしても、これをファンタジーといってしまっていいのか? と思ったりします。ジャンル分けなんて関係ないのかもしれませんけど。 そして、興を削ぐネタバレ込みの文章は、以下に隠しておきます。 2006.05.16 Tuesday 23:00
六枚のとんかつ / 蘇部健一
下品。ゴミ。バカ。誰にでも書ける。商品としてのレベルに達していない。クズ。読む価値なし。 とりあえず、ミステリの感想として言い得るマイナス査定の言い回しはあらかた言い尽くされちゃったくらい、ひどい評判だったのがこの作品。 初期メフィスト賞の徒花的な存在として、清涼院流水と並び称されるだけのことはありました。でも、着実に作品を発表し続けているし、今回手にした文庫版『六枚のとんかつ』も、発売から2年で第9刷と、重版もされていたりして、総スカンをくらっているわけでもないみたい。 賛否両論を呼んで話題をさらったという意味では、メフィスト賞に推した編集者の狙い通りなのでしょう。 まず、短くて手軽に読みきれるものばかりを集めているので、その内容がどれだけ下品だったり、トリックが粗末でも、テンポよく読み飛ばせるのがいい。 そして、キャラクタが過度にバカなので脱力しながら読める。緊張感一切ナシでゆるく始まり、ゆるく終わる。締めるところがとりたててなく、終始、毛穴ひらきっぱなし。それはそれで狙い通りの一品として愛でられました。 シモネタを許容できないかたや、ミステリとしての質を重視するかた以外なら結構いける作品だと思いました。『六とん2』は・・・ほとぼりがさめたころに手にとって見ようかな。 |
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